2024年6月11日遠慮する子どもたち…我儘と片付けて良いかな? | みんなのお家

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2024.06.13更新子育てブログ
2024年6月11日遠慮する子どもたち…我儘と片付けて良いかな?

 紫陽花の花が満開です。今年はどの季節の花も、これぞとばかりにたくさんの花をつけているように感じます。そしてアッという間に終わってしまう。自分の歳のせいばかりではなく、季節の進みが早く追いつけないでいます。
若いお母さんが、命がけて産んだ我が子を殺してしまうというニュースが又流れました。幸せなお産をする事が、このような事件を無くしていく大切な事だと、以前にも書きました。人は生まれる時も、死ぬ時も、一人ではだめなのです。傍で無条件に支える暖かい手が絶対必要なのです。子育て支援と言って、お金をばらまけば、女性が結婚をして、子どもを産むのではと考えている政治家ばかりで、これでは少子化に歯止めはききません。勿論お金がかかるのは確かですから、そこも重要、女性の生き方を守る為の保育園などの施設も重要ですが、子どもを産み、育てる為には見える事の支援だけではなく、目には見えない心の繋がる人との関わりが重要なのだと思います。子どもを産んだことで、新たに出会う世界は、それまでとは大きく変わります。ここで良い出会いが作れると、子育ては楽しくなります。子どもを通して、お母さん達にもいい仲間が出来る事で、最初は我が子だけに注がれた眼差しが、周りの子ども達にも注がれるようになり、我が子と同じように周りにいる子どもたちも可愛く大切に思えるようになります。子育ては楽しくなれば、その他の条件が整えば、子どもを産むことに迷わなくなります。一人の子どもを育てるのに、子どもには勿論ですが、親たちにもたっぷりの愛情を注ぐ事が必須条件なのです。昔の様に、地域で子育てをするような環境は無くなりましたから、このみんなのお家の様な、保育園や、幼稚園とも違う、いつでも、誰でも安心して過ごせる居場所が、いろいろな所に出来ると良いのにと願います。行政はこういう施設にこそお金を落とし、応援すれば明るい未来が開けるのにと思います。

遠慮する子どもたち・・・我儘と片付けて良いかな?

 この日はあきつ子どもクリニックの親子でアートの日でした。昨年から始まり、参加する親子の顔ぶれも、見慣れてきました。私は子どもグループ15人担当です、この日は「にじみ絵」と言う、和紙に食紅を滲ませて美しくい広がる色面、動き、混ざり合いで生まれる驚きの色、形を楽しむアートです。赤・青・黄の3原色ですが、この色は何色?と思うような色が出来たり、面白い形に触発されて「いい事思いついた!」の嬉しい言葉が出ます。色の変化が楽しくて、アートと言うより実験の様になっている子の目は研究者です。
 いつものようにみんなの絵を見せあって、片づけをしていよいよ帰る時になり、S君が困った表情です。申し訳なさそうに「練習した色の紙が無くなったと言うのですが…」とお母さんからの申し出がありました。もう机の上は片づけられ、何も残って居ません。足元のゴミ袋を広げ、新聞紙に挟み込まれていないか探しました。何枚か捨てられたものが出てきました。「これかな?」と見せるものの「違う、もっと青かった」隣で制作していたお姉さんの証言もあり、全部違うと言う事で、もう諦めましょう!と言う雰囲気になりました。特にお母さんは、みんなの手を煩わせている事に、申し訳なさでいっぱいで「もう仕方ないよね」の雰囲気です。その途端S君は泣き出しました。泣く程大切な紙だったのですね。困った挙句の案で、残った和紙と、小分けにした食紅を持ち帰り、「家でもう一度やってみるのはどう?」にようやく納得してくれました。院長先生に「宿題だね。描けたら見せてね」と言われ、機嫌を直して帰ることが出来ました。

 自分の思いを諦めずにしっかり発信し続けた事に「よしよし」と思っていた私ですが、練習用紙ごときで何なのかと、面倒がらずに、一生懸命探したり、代替え案をひねり出す大人たちの姿がありました。子どもの思いを我儘と言う括りで軽く扱ってはいけません。自分の思いを真剣に受け止めてくれる大人たちの姿は、子どもにどう伝わるかと言うと、「君の事が大事だよ」「それでいいんだよ」と、ありのままを受容するメッセージとなり、それは子どもの大きな自信に繋がっていくのです。欲しいものを欲しいと言えなかったり、お代わりするのを躊躇ったりする子が沢山居ます。遠慮なんかせず、物おじせずに自分の気持ちを安心して出せる環境を作る事が、 子どもの自己肯定感をあげる大きな役割を果たします。言い出したら聞かない子を我儘と言う人が多いですが、子どもが育つ過程でとても大事な発信なのだと受け止めて欲しいです。

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